
有名な塾講師の2人が展開する世界史。学生時代に世界史が大嫌いだった自分は登場する地名も人名も把握できずに把握できなかった箇所が多かったと同時に、大変おもしろく読めた部分もあった。第一章の対談では日本文明と中華文明について語っていて、儒教と儒学は中国で始まったが、日本でその教えが実現していると言い、朝鮮とベトナムの中国に対する態度や国の考え方、日中の台湾との関係などについてもふたりが深い知識を披歴している。いったいどんな資料や文献からこれらのような情報を得たのだろうと思うほどである。第4章「東欧文明vs西欧文明」では、ウクライナ戦争のプーチンとゼレンスキーの歴史観の違いが述べられ、カトリックと東方正教会が別れた理由も議論されていたけれども、東欧の歴史に理解が皆無の自分には、何を読んでいるのか分からない点も多々あった。
「西欧文明vs東欧文明、中南米文明vsアメリカ文明vs日本文明」の章では、トルデシャリス条約により中南米を開拓したスペイン人、ポルトガル人の歴史、奴隷をイギリスから購入した史実、南米の国々にヨーロッパから白人が移住したこと、アンデス山脈の西側と東側の天候の違い、フランス、イギリス、オランダがアメリカ東部へ進出し、アメリカの建国の歴史が述べられ、サンクスギビングデーの由来は、寒さで餓死しそうな入植者にとうもろこしの栽培を教えてくれたインディアンに感謝したのではなく、神に感謝したという話だと述べる。
「文明の衝突」とは世界史をうまく表現したものだと思った。世界史を説明する上で衝突・戦争避けて通れない。また、地理と歴史を一緒に教えるという主張はおもしろいアイデアだと思う。以下、多くの興味深い記述があり紹介し切れないので見出しのみいくつか記しておく。アラブ人が一つにまとまらないのは建国神話がないから、日本文明を普遍的と考え恨みを買った日本、神を信じるインド人と「この世」しかない中国人、実はチベット文明に属しているモンゴル、なぜイラン人はシーア派を信仰しているのか、カトリックの神は「罰する神」、正教の神は「人々に寄り添う神」、ウクライナ戦争を正当化するプーチン大統領の歴史観、民族意識は時代によって変わる、など。この本を読んで初めて世界史が面白いと感じた。ただ、読みものとして留めておかないと果てしなく深くハマることになるであろう。


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