
1970年の大阪万博で太陽の塔をデザインして一躍有名になった岡本太郎による人生指南書。いきなり冒頭で「自分に忠実に生きたいなんて考えるのは、むしろいけない。そんな行き方は安易で、甘えがある。」と喝破し、以後延々とと岡本太郎節が続く。破天荒な人生を生きた著者の尋常ではない考え方は新鮮であり、ときに理解不能である。先日87歳かで再度大洋に漕ぎ出す堀江健一氏のことが神戸新聞に載っていたが、著者は1993年に記したこの本の中で堀江青年のチャレンジについて「「冒険」ーそれは甘えだ。運命への、自然への甘えた戯れ。」と述べる。世界中の子どもはみんな自分の子どもだ、世界中の親はみんな自分の親だ、そういう豊かな、おおらかな気持ちを持ちたいと思う。(p−192)にはハッとさせられた。そして、今この世の中に必要なのは「政治」「経済」「芸術」だと主張する。(P−203)
昔流行した「芸術は爆発だ」という著者の名言がいかなる精神から出たのか、本書を読んでよく理解した。「コミュニケーションを拒否するコミュニケーションをこそ人間存在の真ん中に主役としてすえなければならない」(P−228)の一言に、人生と芸術に対する著者の信念を見た気がした。(2026年10月読了)


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