
著者は冒頭から本書の結論を述べ、その理由や詳細を知りたい人が読み進める形を取っていて、大変親切だなと思った。他にもたくさん読みたい本があるので、取り敢えず第一章だけでも読んでから止めることにしたが、結局最後まで読んだ。著者の主張は、会社の経営者やそれに準ずる立場の人はMBAなどの学位を取得するだけではだめで、美術館を訪れて美意識を高めたり哲学を学んだりして、一見業務と関係のない分野の知識やセンスを保持するべきだということ。ノート型パソコンが市場に出回って、あっという間に普及した事実を例に、デザインとテクノロジーはサイエンスによって容易にコピーできる一方、ストーリーや世界観はコピー不可という。そして、この二つを天然資源のようの豊富に持っているのが「日本」という国(Pー121)と主張する。
著者は、「美意識に基づいた自己規範」が「人生を評価する自分なりのモノサシを持つ」ことになるとい述べる。受験エリートと美意識という章で、オウム真理教の階級システムについて言及し、偏差値の高いエリートの美意識の欠如について意見を述べていて、コンサルティング会社やベンチャー企業の昇進システムもこれに似ていると説明する。ナチスドイツのアイヒマンの例を挙げて「悪とはシステムを無意識に受け入れること」と言う。先日読んだ「わたしたちは売りたくない」を出版したチームKはかろうじてこのカテゴリーには入らないということだ。P−193に本題に対する回答あり。それは「より高品質の意思決定」を行うために「主観的な内部のモノサシを持つため」。「侘び茶」の完成者である千利休は世界最初のクリエイティブディレクター、「ディレクションはするけれど、クラフトはしない人」織田信長や豊臣秀吉と言う権力者との関係を説明にはうなずかされた。


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