この本はおそらく『下山事件』を読んだあと、その参考文献に紹介されていたうちの一つだ(と思う)。同じ内容の記述が何か所かあった。戦後GHQが日本政府の裏側でどんなことをしていたのか、そしてそれはまだCIAが組織される前「キャノン機関」というグループが暗躍していた事実を暴いている。ロッキード事件から始まり、その黒幕の一人、児玉誉志夫がどのようにして政界を操るようになったのか、戦後復員してくる有能な日本人をいかに懐柔してキャノン機関の一員としてスパイ行為をさせたか、など読み始めると驚くべき内容が次から次へと出てきた。自分も知らなかった帝銀事件、そして下山事件、松川事件、鹿地事件と、すべてキャノン機関につながっているという。著者は消される覚悟でこれを書いたと述べている。
他に新しく知ったことは、M資金と呼ばれる秘密の対日工作資金が存在していたこと。戦時中に、占領地域から莫大な量の金銀、ダイヤ、白金などを、合法、非合法に押収、収集、そして買い上げて来ていたものを戦後処理する段階で、正直に出どころを告白したり、調べられたりすると大変な犯罪になる可能性があったため、そっくりそのままある場所へ隠しておいたというのだ。そしてそれらが資金として使用されたとのこと。当時の総理は吉田茂で、彼とその側近のみがこの事実を知っていたという。そして、これがロッキード事件にもつながっていると著者は述べている。
最終章で著者はロッキード事件へ話を戻し、この事件は韓国のCIA(KCIA)の仕業であると断定している。米英ソの連合国は、昭和18年1月に開かれたカイロ会議において日本が負けることが確定しており、朝鮮を独立させる話が進んでいたという。その後ソ連が北鮮を要求し、金日成を使って朝鮮統一を煽り、蒋介石は南鮮の独立に動いた。、アメリカの後ろ盾があった李承晩が初代の大統領に据えられたという。朝鮮戦争が勃発した際マッカーサーは、空軍を使えばいとも簡単に北側を制することが出来ると考えていたが、ジェット戦闘機の速度が速すぎて朝鮮の狭い国土に存在する爆撃目標にダメージを与えることが出来ないばかりか小回りが出来ず役に立たなかったこととか、北の進撃に合わせて南は意図的に後進後退戦術を取り、アメリカが手を差し伸べてくれるのを待っていたとか書かれており、「侵入したのは北鮮でも「仕掛けたのは韓国ではなかったか」ということになる。マッカーサーや、かつての米政府は「経済危機と政権崩壊」を逃れるためにうった、戦争誘発と言う、もっとも安易な道を李承晩が選んだことに気付かなかったが、CIAは真因を知っていた」(p-304)という。朝鮮戦争が勃発した際マッカーサーは、空軍を使えばいとも簡単に北側を制することが出来ると考えていたが、ジェット戦闘機の速度が速すぎて朝鮮の狭い国土に存在する爆撃目標にダメージを与えることが出来ないばかりか小回りが出来ず役に立たなかったらしい。
本書の最後で著者は、「わが政界、あるいは財界が、一日も早く党、あるいは一個人の利益のためのする他国の企業は政治との癒着や結びつきを断ち切って、確固たる策を立てなければ、もしも南北朝鮮が統一されたとき、最も危険にさらされるのはわが国である」(p-309)と警告している。2024年の現在、統一は実現していないし、近い将来統一されるとは思えないが、日本の政界、財界の癒着状況ははるかに進んでいるので、実際のところ我が国は大変な危機に晒されている。
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