
我々が陥りやすい行動を「ワナ」と呼び、52種の誤った選択(方法)について説明し、どうすれば誤った先入観(試行の落とし穴)を捨て、正しい選択ができるかを説いた書。人間がいかにボーっと生きているかを逐一例を挙げて述べ、そしてそれらの多くは古代から生き残るための人類がとってきた方法であり、必然的に身に付いたもの、と著者はいう。すなわち、誤った選択(ワナではない選択)を採っていたら、人類は生き残っていないと述べる。自分にも多くあてはまるものがあり、確かにボーっと生きている、と自覚したが、ここで指摘されたことをいちいち考えていては何も選択ができなくなりそうで、それこそ鬱陶しい。面白い本であったが人生に役に立てるほどではない。
せっかくなので、いくつかを紹介しておく。「なぜ、偉い人には遠慮しない方が良いのか?権威のワナ」「なぜ、「選択肢」が多ければ多いほど、いいものを選べないのか?選択のパラドックスのワナ」「なぜ、お酒をおごってもらわない方がいいのか?お返しの法則のワナ」「なぜ、「自分だけはうまくいく」と思ってしまうのか?生き残りのワナ」「なぜ、「もったいない」が命取りになるのか?サンクコストのワナ」「なぜ、歴史的事件の意味は、あとからでっちあげられるのか?ストーリーのワナ」「なぜ、「意見が一致したら要注意」なのか?集団思考のワナ」「なぜ、個人だと頑張るのに、チームになると怠けるのか?社会的手抜きのワナ」「なぜ、恋に落ちた相手は完ぺきに見えるのか?ハロー効果のワナ」等。「文明が発達すると同時に、わたしたちの生活はより複雑になり、ありとあらゆることが互いに関係する社会が作り上げられていった。その結果生み出されたのが、「物質的な豊かさ」である。しかし残念ながら、その代償として、文明病とともに、「思考の落とし穴」も産み落とされてしまった。今後も社会はますます複雑になり、わたしたちは、より頻繁にこの落とし穴にハマり、より深刻な問題が起こるだろう。」(p-300)


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