
外交官としてオーストラリアで勤め上げた著者が、現在の外務省について思うところをぶちまけた書。著者がYouTubeでインタビューを受けているのを視聴し本書を読む気になった。第1章で第2次安倍政権時の北方領土交渉について、安倍首相に物申せない外務省の不甲斐なさを酷評している。著者はプーチンは一方的にウクライナを侵略したと考えているようで、馬渕大使と反対のスタンスだった。本書の中で面白かったのは、在外公館での活動についての言及だった。公邸に連れて行く料理人と食事会について、年末に配布する生花カレンダーについて。私自身その立場の人々と頻繁に接する立場だったので、今にして思えば納得できる言動が多々ある。
著者は私と同い年。外交官を40年経験し本書を執筆。書く文章も私には到底かけない言葉遣いがあり、頭の良さを見せつけられた。ジャパニーズミートアップや事務長時代にいろいろな経験をさせていただいたが、国と国との間に立つという規模の違いをこの本で知ると同時に、著者が危惧している外務省の劣化については全くの同感である。今受け持っている生徒で将来外交官になりたいという生徒がいて、彼らには日本を代表する立派な外交官になってもらいたい。外務省の再生を心から切望する。


コメント