馬渕大使の書物を読むのは久しぶりである。本書は2024年9月に発刊されたばかりで、現在の世界の様子を、これまでの歴史を踏まえて馬渕大師独特の語り口で説明している。ちょうど一昨日トランプが第47代のアメリカの大統領に就任し、まさにタイミングよくこの本を読むことになった。著者は、プーチン大統領の直近の演説を引用し、彼がどのような目で世界の状態を観察し、西側諸国の進め方を暗に批判しながらロシアを自分の思う方向へ、それは自国民を豊かにし、ロシアを強くする方向へ導いていっているという。プーチン大統領の演説は大変素晴らしく、それを読む限り、プーチン大統領は偉大な人物だと思わざるを得ない。
馬渕大使は世界の出来事の99%は公開情報で理解できると述べ、この本も、それをもとに書いていると言う。本書で新たに驚かされたことのひとつに、北朝鮮による日本人拉致がある。北朝鮮が日本人拉致を行った理由は、日本と北朝鮮が永遠に和解できないようにするという、DSの工作だったと書く。日本人拉致は父親の金日成と祖父がDSの下で動いた事件で、金正恩自身は拉致については全く手を染めていないため、プーチン大統領を介せば、拉致問題の早期解決が図れると見る。また、世間で騒がれている台湾有事は起こらず、それよりも戦争の起こる確率が高いのは朝鮮だと述べる。さらに、彼は多文化共生社会が実現不可能であると述べ、国際連合は訳の間違いで、本当は連合国であり、日本とドイツは敵国の位置づけであり、5つある常任理事国はいつでも敵国条項を発動できるとある。ロシアーウクライナ戦争、ハマスーイスラエル戦争についても言及し、それらの歴史、背景を説明しながら、一体だれが裏で操っているのか述べている。
加えて、ポリティカルコレクトネスを主張する左翼リベラル活動家について述べ、「ヘイトスピーチ」もその作戦のうちのひとつと言う。簡単に言えば、東京裁判史観に通じる自虐史観、外国人の言い分だけが通り日本人だけが悪者になると言う法律である。この風潮は今、というかオバマ大統領のころから米国の教育に取り入れられ始めたキャンセルカルチャーにつながるものであるが、「アメリカファースト」を実現しようとするトランプ大統領のMAGA運動により、間もなく再び元通りになるであろう。
本書で扱われている内容は非常にバラエティに富んでいて、けれども世界で起こっている様々な現象が分かりやすく歴史を含めて説明されているので、現在の状況を読み解くには大変すばらしい一冊である。
コメント