本書と令和3年度文部科学省検定学教科書を、ほとんど同時に借用できたので、比較しながら読むことが出来た。両方とも400ページ弱だが、使用されている紙が厚いためかなりのボリュームの教科書になっている。端末にいろいろな図表がカラーで出ているのが良い。令和3年度版では省略されてなかった、赤の傍線、囲み、注釈がびっしりとあり指摘されている箇所が大変多い。しかしながら、「生徒にとって理解しがたい表現である」、または「生徒が誤解する恐れのある表現である」とあるのが大多数で、具体的にそれらの表現のどこが問題なのかはあまり詳しく書かれていない。指摘のある箇所に目を通すと、そんな細かい(どうでもよいような)ことを注意するのかと思われるものがたくさんあって、何かにつけて言いがかりをつけているようにも思われる。中学生が読んで誤解する?どんな誤解をするのか理解しにくいし、生徒にとって理解しがたい?別に全然そんな文章ではなく、はっきりと書いてある、と思われる箇所が多かった。
一言でいえば、私がこれまで読んできた、合格教科書に比べると読んでいて大変面白い。いいなと思ったのは、日本の始まりが日本の神話から、すなわち国生み神話が紹介されていて、それが天皇につながっているところが良い。また幕末から明治、日清、日露から世界大戦への記述、通州事件、関東軍と石原莞爾について等など。令和3年度版には南京大虐殺について「違った意見が存在し、出回っている数字が必ずしも正しいとは限らない」と言うようにあったと思う。また、真岡郵便局の悲劇、トルコ船エルトゥールル号について、中国のことを支那と書いてあること、第2次世界大戦を大東亜戦争と言っていること、天安門事件について、武漢肺炎について、それらはすべて赤線と注釈がついているので合格した教科書には書かれていないが、それらはあっても良いと私は個人的に考える。拉致問題、北方領土、竹島、尖閣諸島問題も記載があった。ヤルタ密約や原爆投下の裏側の企み、トルーマンのコメント等なども資料や文献が数多く引用されていて説得力がある。おそらく合格教科書にはこれほどの数量はないと思われる。このような歴史教科書が近い将来合格することを願って止まない。(2025年1月)
コメント